平舘高校1年生が体感した「リアル」な地熱エネルギー!
2025年9月30日、八幡平市の事業「地熱探検隊」の高校生バージョンが開催されました。今回は、岩手県立平舘高等学校の1年生18名が対象。地元・八幡平が誇る地熱エネルギーの現場を巡り、その可能性と仕組みを肌で感じる一日となりました。
1. 迫力!地熱発電所のリアルに触れる ~松尾八幡平地熱発電所~
「私たちが今立っている、この足元から地熱エネルギーが出ている」
紅葉が色づき始めたアスピーテラインを登り、最初に向かったのは松尾八幡平地熱発電所です。生徒たちはまず、蒸気が地下から吹き出す生産井のある基地へ。

私たちの生活を支えるエネルギーの源が、まさに地元・八幡平にあることを強く実感しました。その後、発電所内部の見学を行い、地熱が電気に変わる場所に足を踏みいれ、「地熱エネルギーのリアル」を目の当たりにしました。

2. 八幡平ならではの芸術~ 地熱蒸気染色の体験~
発電所の見学後は、日本初の商用稼働地熱発電所である松川地熱発電所がある松川温泉エリアへ移動。ここでは、八幡平でしか体験できない地熱蒸気を活用した特別なアートに挑戦しました。

松川地熱発電所から出る地熱蒸気の熱と、その中に含まれる成分を活用して、美しいグラデーションに布を染め上げる「地熱染め」です。地元高校の生徒ですが、ほぼ全員が初めての挑戦でした!
- 絞り:試行錯誤しながら、思い思いの模様が出るように布を絞ります。
- 着色:布に色をつけ、地熱蒸気で蒸すことで色が定着します。
四角い素材をどう折り畳み絞るとどんなパターンができるか、蒸気の成分、気温による体積や成分の濃度について、色の三原色や染料の粒子についてと地熱蒸気染色には学びの要素が盛りだくさんでした。

染色作家の方からは、松川温泉の歴史や、地熱発電との深い関わり、そして染物への繋がりについてのお話もあり、生徒たちは地域の文化とエネルギーの結びつきに理解を深めました。約20分間の蒸し上げ時間も、作家さんとの交流を図る貴重な時間となりました。
3. 未来を考える~JOGMEC地熱講座とワークショップ~
午後は、JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)の職員による地熱講座とワークショップです。
地熱エネルギーの今と未来
地熱講座では、地熱発電の仕組みや、日本・世界のエネルギーの現状について学びました。また、若手職員によるJOGMECの紹介コーナーと何故JOGMECへ入構したのかの時間も設けられ、生徒たちは「地熱」だけでなく「そこで働く人」にも興味津々の様子でした。

八幡平市の未来を創造!アイデア出しワークショップ
講座の後半は、「八幡平市の未来『地熱エネルギーの活用』」をテーマに、グループでのアイデア出しワークショップを実施しました。生徒たちが描いた八幡平市の未来像は様々です。
- 「自然が残る街」「やさしさの街」といった環境や人を大切にする街。
- 「活発な街」「映画館や遊ぶ場所もある街」といった賑わいや利便性を重視する街。
そして、地熱資源の有効活用については、「食と絡める」「医療や福祉と絡める(例:温熱を利用した健康施設)」といった、地域に密着したユニークで面白い案が多く出されました。

4. 充実の構成がもたらした「キャリア教育」的意義
今回の地熱探検隊は、現地視察、専門家による講話、そして未来を考えるワークショップが見事に融合し、非常に充実した1日となりました。
特に、地熱発電の知識に加え、環境、エネルギー、そして働く人たちと地域の人たちとのかかわりといった多角的な視点を取り入れた構成は、高校生にとってのキャリア教育的な面も大切にされています。
地元八幡平の資源を学び、そこで働く人の話を聞き、自らの手で未来のアイデアを創造した経験が、生徒たちの今後の学習や、将来の進路を考える上で活かされていくことを願っています。
