地熱シンポジウムin岩手2025 開催レポート

シンポジウム

— 大地の力と、地域の未来をつなぐ一日 —

2025年10月20日㈪、盛岡市のキオクシアアイーナを会場に「地熱シンポジウムin岩手2025」が開催されました。
会場参加に加え、地熱発電所見学バスツアー、YouTubeライブ配信、19日㈰・20日㈪は地熱アートミュージアムと、多様な参加スタイルで多くの人が地熱の“今”と“未来”に触れる一日となりました。

来場・参加状況は下記の通りです。(主催JOGMECデータより)

  • シンポジウム来場者:296名
  • 一般向けバスツアー参加者:37名
  • YouTubeライブ配信視聴者:867名
  • 地熱アートミュージアム来場者:405名

会場内外を含め、延べ1,600名を超える人々が地熱の可能性に関心を寄せたことになります。

見て・感じて・つながる地熱|発電所見学ツアーと展示ブース

地熱シンポジウムの開催にあわせ、同日の午前中には松尾八幡平地熱発電所を無料で見学できる一般向けバスツアーが実施され、37名が参加しました。参加者は発電所内を見学しながら、地熱発電の仕組みや地域とともに歩んできた歴史について説明を受け、大地の奥深くから生まれるエネルギーを間近で体感する貴重な時間となりました。

また、シンポジウム会場ホールには、近隣市町のPRブースや地熱関連事業者による展示ブースが展開され、来場者でにぎわいました。

八幡平市は、エネルギーの地産地消を目指す「はちまんたいジオパワー」を軸に、地熱を切り口とした市の取り組みを紹介。観光地・八幡平の魅力や温泉資源、地熱産業について、来場者一人ひとりと対話を重ねながら交流できるひとときとなりました。

地熱を「知る」「見る」だけでなく、「人とつながる」場としても、シンポジウムの価値を実感できる空間が広がっていました。

第一部|基調講演 
「大地の力を掘り起こす奇跡の軌跡 〜地熱の開拓者たち〜」

基調講演では、日本重化学工業株式会社 エネルギー・環境事業統括部 常勤顧問であり、岩手地熱株式会社 Project General Managerの 高橋 昌宏 氏が登壇。

日本の地熱開発の歩み、現場の経験が語られました。様々な課題はあるものの、地熱資源が豊富な日本においてのエネルギー自給自足について改めて地熱発電の可能性に未来を感じました。また、八幡平市の地熱エネルギーの地産地消といった発電とともにある地域貢献についても熱い思いが伝わった講演でした。

第二部|トークセッション
「噴き出す蒸気、湧き出す発想 〜地熱の革新者たち〜」

トークセッションでは、地熱資源を活用した事業に取り組む実践者が登壇し、地域に根差した取り組みが紹介されました。ゲストは藤本美貴氏。
SPプログラム|地熱×アート「GEOTHERMAL COLLECTION 2025」として第二部トークセッションのパネリストたちは当市の地熱染色研究所地熱蒸気染色GEOCOLOR の作品を身に着け登壇しました。地熱エネルギーを活用した染色作品を通じて、地熱の“見えない価値”を可視化。

(株)ヘラルボニー
代表取締役 松田文登氏
(株)MOVIMAS 
八幡平スマートファーム
代表取締役 兒玉則浩氏
(株)地熱染色研究所 
染色デザイナー 髙橋一行氏
(株)はちまんたいジオパワー 
代表取締役 妹尾大介氏

エネルギーが「産業」や「発電」にとどまらず、文化や感性と結びつくことで、新たな可能性が生まれることを来場者に強く印象づけました。
それぞれが、地熱を「発電」だけでなく「農業」「地域」「芸術・文化」と結びつけることで生まれる価値を語り合い、地域の未来を形づくる可能性が共有されました。蒸気が立ち上る土地だからこそ生まれるアイデア——その言葉通り、地熱が創造性の源泉となる姿が印象的な時間となりました。

第三部|パネルディスカッション
「地熱の未来をもっと想像×創造しよう 〜未来の先駆者たち〜」

ゲストに 藤本 美貴 氏を迎え、

  • 東北自然エネルギー株式会社 地熱事業部長 加藤 修 氏
  • 資源エネルギー庁 資源・燃料部長 和久田 肇 氏
  • 産業技術総合研究所 研究者 浅沼 宏 氏
  • 新エネルギー・産業技術総合開発機構 ユニット長 馬場 惠里 氏

が登壇し、次世代地熱発電や熱利用の将来像、社会実装に向けた課題などについて活発な議論が交わされました。

東北自然エネルギー株式会社
地熱事業部長 加藤 修 氏

専門性の高い内容を、生活者目線の問いと結びつけた対話は、地熱を「自分ごと」として考えるきっかけを与えてくれました。

おわりに

地熱シンポジウムin岩手2025は、国際的な技術進歩について、地熱資源を活用した産業、文化と地域にも目を向ける場として、地熱の多面的な価値を伝える一日となりました。
大地の恵みをどう未来につなげていくのか?という問いに向き合う人々の熱量を感じました。

地下から湧き出る熱は、電気を生み出すだけでなく、人の想像力や地域の希望に繋がっていると感じた二日間でした。岩手という地熱資源に恵まれた土地だからこそ素晴らしいシンポジウムでした。

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